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【CuoreUp #085】「リバタリアニズム」vs「パターナリズム」

  • 2016年9月16日(金) 12:08 JST
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◆ 今回のCuoreUp

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今回のテーマは『「リバタリアニズム」vs「パターナリズム」』です。

「リバタリアニズム」とは「自由主義」のことであり、
そういった人を「リバタリアン」と呼びます。
また「パターナリズム」とは「父権主義」のことで、
父権主義者をパターナリストと呼びます。

「あなたの為」をモットーに、
頑ななまでにルールに従わせようとするパターナリストと、
束縛を嫌い自由を求めるリバタリアンとの戦いの歴史は、
思っている以上に長く根深いものです。

パターナリズムのように、
あからさまにコントロールしようとすると、
リバタリアンでなくとも、反発したくなるものです。

しかし、ビジネスの世界では、
いつまでも反発し続けることは損ですし、
かといって、リバタリアン自体を、
野放図にしておくわけにも参りません。

そこで生まれたのが
「リバタリアン・パターナリズム」です。

あれ?
くっついちゃいましたね(笑)

そうです。
融合したのです。

リバタリアンパターナリズムは、
「ゆるやかな介入主義」と訳され、
対象者の感情を極力逆なですることなく、
「さり気なく導く」という感じで、
行動を促すのです。


スーパーやコンビニを思い出してみて下さい。

飲み物や菓子類などは、当たり前のように、
消費期限が近いものから並べられています。

足の速い食品では、消費期限を気にして、
なるべく期限が先のモノを取る人もいますが、
あまり気にとめない人も結構います。

売り手としては廃棄を減らすために、
消費期限の近い商品を捌きたいわけです。

消費者には、陳列されている商品の中から、
自由に選択する権利がある訳ですが、
消費期限が遠い商品を掘り返してまで探す人は、
滅多にいませんし、そういった陳列に対し、
怒りをぶつける人とも出会いません。

リバタリアンパターナリズムの、
マーケティング利用例です。


また、肉ばかりを偏愛している人に、
「体の為」と言って肉を禁じることは嫌われますが、
少しでも体に優しい調理法を幾つか伝授し、
調理法を選択させる事は可能です。

ダメなビュッフェでは、
食品の順番はそれっぽくても、
取り皿などが両端に置かれており、
真中で人が右往左往していたりします。

人の流れがスムーズなビュッフェでは、
取り皿の個所が限定されていて、
いつのまにか一定の方向に人が流れています。

宿題をしない子供に対して
「宿題しろ!」と言っても反発は必至ですが、
「すぐ宿題をするか、今、説教されるか
どちらかを選びなさい!」と言われれば、
大半の子供が宿題を始めるのです(笑)


ここからは、ちょっと話の毛色が変わります(汗)

健康保険証の臓器移植の許諾に関する文言を
憶えていますでしょうか?

提供を希望する場合は○をつける。
その上で、提供を希望しない臓器には×をつける。
となっています。

この文言を検討した当初、
臓器提供の母数を底上げする為に、
○という選択肢は存在せず、
希望しない欄に×をつける。
という方式が採択されようとしていました。

つまり、×を明示的に書かなければ、
臓器提供に同意したことになるのです。


リバタリアンパターナリズムには、
「選択をしないという選択肢」があることに、
気付き難いという問題が内在しています。

また、臓器提供の当初案のように、
選択権のデフォルト(不履行)が、
意思決定のデフォルト(既定値)として、
採用されてしまうという悪い例もあります。

楽天で購入した時のメルマガ購読欄に、
チェックがONになっているのが、
最たる事例です(笑)


余談ですが、
ブラック企業などが社員の心を蝕むのは、
このリバタリアンパターナリズムを
巧みに利用しているからのようです(汗)

あたかも自分の意思で働いていると、
思い込んでいるようですが、
限定的な選択肢しか与えられていないことに、
気付けなかったのかも知れませんね。

 

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◆ あとがき

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吾輩、消費期限は気になる方でして、
今でも牛乳と豆腐は、
ついついチェックしてしまいます(笑)

自由意思をつらぬく人は、
その振る舞い自体が批判されることを、
甘んじて受け入れなければなりません。

「文句言うな」はお門違いな訳です。

ちなみに消費期限が超間近でも、
値引きされていれば購入しますよ(笑)

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